サーキット走行のためのクーラント(冷却水)選び

はじめに

どうも、かとうです。
今回はサーキット走行のためのクーラント選びについてお話します。

ぶっちゃけ、練習走行でサーキット走るだけならば一般的な市販車両に入っているLLC(ロングライフクーラント)のままで何にも問題ありません。

問題となるのは、レースに出場するとき。
例えば近畿スポーツランドで開催されている北川圭一杯の競技規則は「ラジエターに不凍液が入っている場合は水に取り替えること。」となっています。美浜ミニバイク8時間耐久レースなども同様の記載があり、大抵のレースはLLCを入れた状態では出場できません

通常のLLCには不凍液が入っていますが、転倒などでクーラントがコースに漏れ出したときに、不凍液の成分が非常に滑りやすく、安全上の問題が生じるために、不凍液の使用が禁止されています。

そこで、一般的に安く済ませる場合は水をラジエータに入れることになるのですが、かとうは水ではなく競技用クーラントの使用をお勧めします。

ただの水に比べ、競技用クーラントは冷却性能に優れる防錆効果がある、といったメリットがあります。(ただの水を長期間入れると流路内部に錆が発生することがあります。)

なお、レーシングクーラントと謳っているものでも不凍液が入っているものがあるのでご注意ください。
不凍液の成分はエチレングリコールやプロピレングリコールなので、レースにも出る方はそれらが成分に含まれていないものを選んでください。凍結温度が0℃以下の-40℃等のものは、不凍液が含まれているので、レーシングクーラントと名前がついていても使用できません。

代表的な競技用クーラント(レーシングクーラント)のご紹介

競技用クーラントの選択肢はかなり限られます。
今回は比較的手に入りやすいレースでも使用できる不凍液の入っていないクーラントをピックアップしてご紹介いたします。

ワコーズ RHB ヒートブロック

価格:2Lで¥2,770なので1Lあたり¥1,385です。(2025年5月20日現在)

いわずと知れたケミカルの名門、ワコーズのレーシングクーラントです。

商品説明には「凍結防止効果はありませんので注意。100%原液で使用。モータースポーツ用として熱特性を最適化した処方ですので、防錆・防食効果は限定されています。冷却系内部の保護のため、走行毎に交換してください。」とあります。

あくまでもレース一発に向けたクーラントであって、常時入れっぱなしにしておくようなものではないようですね。

elf(エルフ)  RACING COOLANT ORGANIC

価格:2Lで¥2,740なので1Lあたり¥1,370です。(2025年5月20日現在)
価格はワコーズのレーシングクーラントとほとんど一緒ですね。

こちらもワコーズと並んでケミカルの雄たるエルフが出しているレーシングクーラントです。
もちろん不凍液を使用していないのでレース使用もOKです。
推奨交換周期などの記載はないですが、通常のLLCよりは頻繁な交換が必要となるでしょう。

ケミテック(KEMITEC) クーラント PG55 TA 4L

価格:4Lで¥5,980なので1Lあたり¥1,495です。(2025年5月20日現在)
2Lのほうは¥3,500なので1Lあたり¥1,750です。

値段的にはワコーズやエルフより若干高め。
不凍液を含んでいないので、凍結温度はもちろん0度で、レース使用も問題ありません。
推奨交換時期は0.5年(半年)となっていますね。やはりレーシングクーラントは交換周期という面ではLLCよりもはるかに神経質な管理が必要になってしまいますね。

レースには使えないけれどサーキット走行に適したクーラント

ついでに、不凍液成分が含まれているので、厳密にはレースでは使用できないのだけれども、サーキット走行などで冷却性能を重視するシチュエーションで候補にあがってくるクーラントもご紹介いたします。

ワコーズ RHB-P ヒートブロックプラス

4L入りで6,430円なので1Lあたり¥1,607です。(2025年5月20日現在)

商品説明分は「レース向け「ヒートブロック」の思想を受け継ぐストリート向けラジエーター冷却液。特殊放熱成分「サーモスムーザー」により、もっとも発熱の著しいエンジンヘッド周りから効率的に熱を奪い、ラジエーターからスムーズに放出します。100%原液で使用。凍結防止成分配合で冬季でも使用できます(凍結温度:-12℃)」となっています。

先にご紹介したヒートブロックは不凍液を含まない、純レーシング仕様でしたが、こちらの名称に「プラス」がついたクーラントは、不凍液成分が入っており、ストリートユースでも使えるような汎用性の高いものになっています。

オーバーヒートを避けための優れた冷却性能が必要となるサーキット走行などのシチュエーションでは、一般的なLLCよりも頼りになるクーラントです。
先に紹介しました「プラス」が名称についていない、純レーシング仕様のヒートブロックのように神経質な管理を必要としないところもいいところです。

ケミテック(KEMITEC) クーラント PG55 GT 4L

4L入りで6,040円なので1Lあたり¥1,510です。(2025年5月20日現在)
こちらは先にご紹介したPG55 TAの同シリーズ品ですね。

こいつはレースでの使用はOKなのか非常に怪しい商品ですね…。
商品名では「競技専用品」とうたっていて、商品説明では「粘弾性を持つグリコール系液剤を一切使用せず」とも書いてあるのですが、一方で「プロピレングリコールを理想値である55%配合した」ともあるので、レース使用は不可な気がしますがどうなんでしょう…。
ただ、プロピレングリコールが含まれているだけあって、-20℃までは凍らないらしく、ストリートユースも考えるようなマシンに対してはよい選択肢であることは間違いないといえます。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
レーシングクーラントはあまり選択肢が多くはありませんが、車両(エンジン)を錆から守る意味でも、レース参戦される方は是非検討してみてください。

また、実際に草レースの車検ではクーラントに不凍液が使用されているかまでは調べられませんが、転倒したときに周りに迷惑をかけないためにも、競技規則は順守しましょう。