目次
はじめに
どうも、かとうです。
今回はエンジンオイルについて書いていきます。
エンジンオイルって人によって考え方が違うというか、ある種宗教的側面があるというか…。
たとえば何キロ走ったら交換しないといけないとか、あの添加剤がいいとか、このブランドのオイルがいいとか、ある程度使っているうちに成分がせん断されて設計意図通りの性能が出てくるとか…..
まっとうな意見から眉唾ものまでいろんな話が混在する世界なのです。
個人的には明らかに疑似科学的な消費者をだますような添加剤を売っている事業者は地獄に落ちろと思っています。どの添加剤とは言いませんけどね。
なので今回の話はなるべくオカルト要素は排除した内容を書いていこうと思いますが、私のエンジンオイルに対する思いも多分に入っているかもしれません。
種類
エンジンオイルは大きく分けて全合成油と部分合成油、鉱物油という分類ができます。
一般的には値段も性能も、絶対ではありませんがおおむね全合成油>部分合成油>鉱物油であると考えてよいかと思います。
サーキット走行をする場合は全合成油を選ぶ人がほとんどです。
鉱物油
鉱物油は油田から掘り出した原油を蒸留して得られた潤滑油です。
原油から分離されてつくられているだけに値段は安価であります。蒸留による分離では不十分で、不純物が多く含まれていることから、熱的安定性は化学合成油に劣ります。
鉱物油とはまた違うんですが、昔は植物性油をエンジンオイルとして使っていたりもしました。トウゴマの種子からとれるひまし油は英語でCaster Oilというのですが、現在でも存在するオイルブランドのCastrol(カストロール)の語源にもなっています。耐酸化性能に問題があるので、現在植物性油をエンジンオイルにつかうということは通常ありません。
部分合成油
熱的安定性の高い全合成油と廉価な鉱物油の良いとこどりを目指したグレードのオイルです。
鉱物油と全合成油をブレンドして、鉱物油のネガな部分を極力減らすように設計されています。
現在だともっとも一般的で手に入りやすいのは部分合成油でしょう。
全合成油
化学合成油とも呼ばれます。
原油を原料に、成分を合成してつくるので、設計者の狙った分子量にそろったオイルとなります。
始動性や高温時の熱安定性が高いという特徴があります。
全合成油は成分の分子量が整っているので細部に浸透しやすかったり添加物がガスケットに悪影響を及ぼして、旧車にいれるとエンジンオイルにじみを起こしやすいという話も聞いたことがありますが、どうなんでしょうね。私は実感したことがありません。
ちなみに全合成油と鉱物油の分類についてもいろいろと議論があって、「あの銘柄のオイルは全合成油といっているが実際は鉱物油がベースだ!」というような話もありますね。そのへんは以下の記事が分かりやすかったので参考にしてください。
エンジンオイルの交換サイクルはなぜ延びた? 実は100%の化学合成油が存在しない理由:高根英幸 「クルマのミライ」(1/5 ページ) – ITmedia ビジネスオンライン
粘度の読み方
オイルの粘度って低温時の仕様と高温時の仕様を、以下のように二つの数字で表されます。
20W-40
数字が大きいほど粘り気の大きいオイルで、小さいほどサラサラしたオイルになります。
WはWinterの頭文字、なのでWがついているほうが低温の粘度で、その後ろに続くのが高温時の粘度です。
低温時の粘度には0W,5W,10W,15,20W,25Wがあり、これが小さいと、寒くても粘度が小さい(=低温始動性が良い)エンジンオイルということになります。(厳密なことを言うと粘度というより、どのくらい外気温が低くても始動できるかということを表した数字ですが、詳細は割愛。)
高温時の粘度には20,30,40,50,60があります。こちらが小さいと、高温時の粘度が小さいということになります。
一般に粘度が小さいと、抵抗が少なくなるので始動性がよくなったり、燃費がよくなったりという効果が期待できます。サーキットユースでいうとレスポンスの良さ、高回転の伸びが良くなるという効果が期待できます。
一方で、粘度が小さいとさらさらになっていくので、高回転・高温時の湯切れリスクが高くなりますので、エンジン保護性能は落ちると言えます。
エンジンオイルの粘度を選択する際は取扱説明書をみて、純正指定している粘度をまずベースに、そこから粘度を買えるかどうかを考えます。
サーキット走行をするのであれば、一般に設計者が意図するレベルよりもエンジンオイルは高温になります。なので一般的には、高回転時のエンジン保護を狙って、純正指定の粘度よりも高温側の粘度をあげた選択をすることが多いです。
一方で高粘度オイルのほうが油温が高くなることがあり、必ずしも粘度を上げることが高負荷の走行に対してよい選択とは言えないという意見もあります。
サーキットではどんなオイルを使っているの?
私の独断と偏見で、サーキットライダーでユーザーが多いエンジンオイルについて、具体的な銘柄を紹介していきます。
Motul 300V
サーキットライダーにとってのMotul 300Vは最高峰にして至高。定番中の定番です。
なにを選ぶのか迷ったらとりあえず300Vを入れておけば間違いないです。
鮮やかな緑色をしています。見た目はまるでカワサキのエンジンオイル(冴強・冴速)みたいです。
価格は約4,000円/Lとまあまあお高め。(2022/11/15現在)
パノリン TOP RACE
パノリンの二輪用エンジンオイルのトップグレードがTOP RACEです。
一応、レース専用オイルというふれこみで売っていますね。
値段は約4,400円/L(2022/11/15現在)
パノリンのもうひとつ下のグレードのオイルはRACEというグレードですが、こちらもサーキット走行に対応することを念頭に置いた設計がされているので、ライトユーザーならばRACEでも十分かも。
カストロール Power1 Racing 4T
カストロールの全合成油です。特徴は値段の安さ。約2,000円/Lです。(2022/11/15現在)
多分全合成油としては最も安いと思う。
私は貧乏なので、ずっとこれを使っています。性能的に不満は全くなし。
ペール缶で買うともっとお得なので私は20Lペール缶で買っています。
ワコーズ Triple R
ワコーズのエンジンオイルのなかでサーキット走行をする人におすすめなのがTriple Rです。
後述する4CRはこれよりもレース寄りのスペックなので、ホビーレーサーにとっては、こちらのほうが神経質にならなくて済むので楽っちゃ楽。
約3,360円/1L(2022/11/15現在)
ワコーズ 4CR
ワコーズの最高峰オイルが4CRです。価格は約5,000円/1L。(2022/11/15現在)
た、高い…。私はここまでは不要かな、という気がしています。4CRを長期間使うよりはカストロールを倍の交換頻度で交換してやったほうがいいんじゃないのかな~って思います。
もちろん、性能は間違いないので、4CRを頻繁に交換できる財力があるのでしたら、それが一番いいことです。
ワコーズのスポーツ走行向けオイルには4CR、WR-R、Triple Rの三つがあるんですが、これはこの順にレース向けの傾向が強いようです。すなわち、4CRが最もフリクションが低い代わりにエンジン保護性能は落ちるようなので、丁寧なオイル管理が求められます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
エンジンオイルをなににしようか選んだり、交換作業をしているのって、それだけで楽しいものですよね。
次どんなオイルを入れようかとか考えるのも楽しいものです。
ここで紹介した以外にも、Hiroko(広島高潤)とか、それぞれこだわりをもってオイルを選んでいる人もいますね。
ちなみに私個人の意見としてはどの銘柄のオイルを入れるかよりも交換頻度やオイル量の管理のほうがはるかに重要と考えています。高いオイルであれば耐久性も高くて長く使えるというわけではありません。
ちなみにサーキットには、どのサーキットでも必ずオイルを捨てる場所があるので、オイル交換はサーキットでやることをおすすめします。廃油の処分が非常に楽ちんです。
ただしエンジンオイル以外のブレーキフルードやガソリンを捨てるのはやめましょう。とくにガソリンを捨てると火災事故の危険がありますので、絶対に捨てないようにしましょう。
以上、みなさんのサーキットライフの参考になると幸いです。