サーキット走行で使うレーシンググローブの選び方

はじめに

みなさん、街中を走る場合もグローブを使用していますよね。

サーキットを走るときに用意しないといけない装備をご紹介する記事では、レーシンググローブをあげました。

でも、わざわざ街乗り用のグローブとは別にレーシンググローブを用意しないといけないのって、お金がかかるし、街乗りグローブでサーキットも走れた…と考えますよね。

しかし、街乗り用グローブをそのままサーキット走行に使用することはできません。

例外的にエンジョイ走行枠や体験走行会等で街乗り用グローブを使用しても良いケースもあります。
しかし、基本的にサーキットを走るときはレーシンググローブが必要と考えて構いません。

今日のコラムでは、レーシンググローブの選び方やおすすめのレーシンググローブをご紹介します。

レーシンググローブは普通のバイク用グローブと何が違うのか

街乗りグローブと比較して、レーシンググローブの最大の特徴は手首まで守る構造になっていることと、プロテクト性能を強化していることです。

街乗り用のグローブって、普通の手袋くらいの長さのものが多いと思うのですが、レーシンググローブは街乗り用のグローブよりも10cmくらい長く、手首の部分までしっかり守ってくれる構造になっています。

また、転倒したときに手指を保護する目的でプロテクターも堅牢なものが多くついています。

手の甲の部分のナックルプロテクターはもちろんのこと、一本一本の指や手首の部分にもハードプロテクタやソフトプロテクタがちりばめられています。

さらに、後ほど紹介する私が愛用しているグローブなどもそうなのですが、小指と薬指がはなれないような構造になっているグローブもあります。これは、転倒時に小指の骨折を防ぐためのもので、サーキット走行で転ぶと小指を折ってしまうパターンがそこそこあるのですが、薬指とくっついていると、小指がへんな角度に曲がることを防いでくれるという効果があります。

また、プロテクション機能はがちがちに固められていながら、バイクからのインフォメーションがライダーに的確に伝わるよう、指の内側(グリップと接する部分)はかなり薄めに作られていたりします。
とはいってもしっかりと引き裂き耐性の高い革を使用されて、いざというときは指を守るようになっています。

わたしが使っているグローブの紹介

私が愛用しているグローブをご紹介します。

私は、KomineのGK-169を使っています。このグローブはすでに廃盤なんですが、とってもよくて、5年くらいずっと愛用してしています。

さすがにぼろぼろになってきたので、途中で別のグローブも買い替えたりしたのですが、新しく買ったグローブとの相性が悪くて、結局このグローブに戻ってきてしまいました。

グローブ選びって難しいものですお店で試着したときは特に違和感がなかったとしても、サーキットで1時間、2時間と乗っていると、合わないところが遅れて見えてくることがあります。
合わないグローブでは縫い目が指にあたって痛くなってくるとかに後から気づくことがあります。

このグローブは縫い目があたって痛いということもなくとっても満足しています。

チタニウム製のナックルプロテクターの傷が過去の転倒でしっかり手を守ってくれたことを示しています。

小指と薬指は縫い付けられて離れないようになっています。

転倒時に手をつくところにはしっかりとプロテクタが入っていますが、指の先端は驚くほど薄く、バイクのタッチが分かりやすくなっています。手首の部分もベルクロでフィッティングを細かく調整できるようになっています。

このグローブのいいところは、なんといっても安いところ。1万円ちょっとで買ったと記憶しています
それだけ安価ですがプロテクション性能も操作性も不満なく、必要十分な性能を発揮してくれています。

代表的なレーシンググローブ

代表的なレーシンググローブをご紹介します。

基本的にこの記事を読んでいただいている方は、まず最初のレーシンググローブを選ぶ、という目的で見てくださっている方が多いのではないかと思います。

なのでこの記事では1万円台で買えるエントリーモデルをメインにご紹介します。

各社基本的にフラッグシップモデルからエントリーモデルまで3モデルくらいラインナップしていることが多いですが、フラッグシップモデルは3万~5万程度のものが多いです。

それだけ高価なグローブは最初は躊躇してしまいますよね。

まずはエントリーモデルから買って、サーキット走行に挑戦してみてはいかがでしょうか。

クシタニ

クシタニのレーシンググローブには、フラッグシップモデルにK-5198 GPV GLOVESというのがあるのですが、わたしがクシタニらしさを感じるのは、価格的に入門グレードにラインナップされているK-5199 GPS GLOVES IVのほうです。

クシタニって、レーシングスーツもそうなのですが、「ガチガチにプロテクションを固めて転倒時に保護する」という思想ではないんです。

「動きやすさを担保して転倒を避ける」という未然防止の思想を強く持ったメーカーなんですね。

K-5199 GPS GLOVES IVはその思想が色濃くでたグローブで、レーシンググローブでありながらナックルプロテクターがハードプロテクタ―ではないんです。

これには固いプロテクターをつけて動かしにくくなることを嫌ったクシタニらしさが強くでています。

Amazonでの取り扱いがないようなので、公式サイトへのリンクを貼っておきます。

レーシングブーツ・レーシンググローブ|KUSHITANI JAPAN

コミネ

GK-253ダイアルフィットスポーツレザーグローブ

ダイヤルフィットシステムを採用しているのでダイヤルをくるくると回すだけで簡単に手首部分のフィッティングができます。

わたしかとうは、ダイヤルフィットシステム自体はグローブでは使ったことがなくて、靴でしか試したことがないのですが、とっても便利なシステムです。

ベルクロだとさらにきつくしたくなった時に、一度はがして貼りなおすという手間がかかり、グローブをした状態だとうっとおしいのです。

しかし、このグローブのようにダイヤルを回すだけで締まるというのは、フィッティングをきつくしたいときにめちゃくちゃ便利です。

GK-235

(Amazon価格¥11,679:2022年7月3日現在)

私の使っているGK-169に相当する現行モデルがこれのようです。

私も買い替えるならこのGK-235かな~と考えているので、一番おすすめできるグローブであります。GK-169と同じく手の甲のプロテクタにはチタンを使用しています。機能的にも、他社のフラッグシップが持っている機能(フィッティングできる場所やプロテクタの数、ベンチレーションの数)と比べても遜色ありません。

こんなにいいグローブが1万円台前半で買えるなんて、Komineさん採算とれてるの?と心配になります。

アルパインスターズ

アルパインスターズはMotoGPなどでもよくつかわれているイタリアのギアメーカーです。

エントリーモデルがこのGP PLUS R V2です。Amazonで¥25,078(2022年7月3日現在)なので、エントリーモデルとしてはちょっと高めですね。

RSタイチ

国産バイクギアメーカーの雄、RSタイチの入門グレードのレーシンググローブがGP-Xレーシンググローブですね。

Komineなどに比べるとエントリーグレードということもあって若干シンプルなつくりになっています。

Five

Fiveはグローブを専門とするフランスのメーカーです。

トップグレードのレーシンググローブはRFX1で、中間グレードにはRFX2というのもありますが、入門用グレードとしてはRFX3というのがあります。

デザイン的には、RFX3もトップグレードのRFX1に似せており、エントリーモデルでありながら機能が省略されている感が薄く、非常にかっこいいデザインです。個人的にはエントリーモデルの中では最もかっこいいと思います。

小話

わたしかとうのすきなバイク小説にレーシングデイズという小説があります。女子高生がレースをするという、なんだかバイク好きのおっさんを狙い撃ちにしたような小説です。

この小説のカバーイラストが非常に印象的で主人公とライバルが制服姿でレーシンググローブを握りしめている、というものです。

このカバーイラストで描かれている主人公のグローブはKUSHITANI GPR GLOVES 6-1.1のブルーです。残念ながらこのグローブはすでに廃盤になってしまっています。このグローブもクシタニらしく、ハードプロテクタ―を持たないグローブですね。個人的には数あるレーシンググローブのなかでもこれが最もかっこいいと思います。

ライバルはFiveのRFX1 016です。こちらも主人公のライバルが使用しているカラーは絶版になってしまっています。

ちょっと話が脱線してしまいましたが、小説や漫画の登場人物が使用しているレーシングギアなどに注目してみても面白いかもしれませんね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

ここまで読んでくださった方はお気づきかと思いますが、この記事のタイトルが「レーシンググローブの選び方」というものでありながら「選び方解説してなくない…?」と思われているかもしれません。

そうなんです…私はレーシンググローブってデザインとご自分の手に合うかで選んでいいものだと考えています。なので、「こういうグローブじゃないといけない!」というような明確な基準があるわけじゃないんです。

レーシンググローブはいろいろなメーカーがいろいろなラインナップを持っているので、是非一度試着してからご自身に合いそうなグローブを選んでみてください。

今回の記事がみなさまのグローブ選びの一助になれば幸いです。