目次
はじめに
どうも、かとうです。
先日買ったスポーツスターSですが、トータル4,000km走って、やっといろいろとこのバイクとも仲良くなってきた感があります。
人付き合いと同じで、しばらくして相手の欠点とかがやっと見えてくるというところも多いので、前回のレビューから追加で気になったことや分かったことを書いていこうと思います。
ちなみに、購入してすぐのレビューはこちらをご覧ください。
ハーレーダビッドソン スポーツスターSを買った話(レビュー編) – Moto Study (moto-study.com)
ポジティブなところ
エンジンのフィーリング
レビュー記事なのでいいところを書こうと思ったのですが、ドンと胸をはって大きく言えるようないいところは、まずはエンジンくらいしか思いつかなかないような…。
そう言ってしまうと、この後ネガティブなことをたくさん書くので、「スポーツスターSを買って後悔してるんじゃないの?」って思われてしまうけれど、そんなことはなく、満足しています。
3速~4速をつかって2500~3000rpmでドルドルと走るのが本当に気持ちいいエンジンです。
ゆっくり走るのがストレスじゃないバイクに乗るのは久しぶりです。
回した時のトルクもすごく、加速力でいえばリッターSSに匹敵するほどで、試乗したときは峠でぶん回したらとても楽しいのではないかと思いました。しかし不思議なことに、このバイクに慣れてくるとぶん回す気にならない。アクセル開度を一定にして一定の回転でドルドルと走るのが心地よいのです。
試乗の時はスポーツモードの加速力にぶったまげましたが、実際に乗っているとスポーツモードに入れたいと思うことがほとんどなく、大抵はロードモードで走っています。
このバイクにはなんだかゆったりと走るのが心地いいと思わせる特性があります。回したら早いバイクなのに、そんなふうに思わされるのはなんだか奇妙な感じがします。ハーレーに乗るのは初めてなのですが、もしかしたらこれが「ハーレーらしさ」なのかもしれません。
そういった意味では「ハーレーらしくない」と言われるスポーツスターSですが、国産を乗ってきた私からすると「ハーレーらしさ」を存分に感じるバイクだといえるかもしれません。
こうしたゆったり走るのが気持ちいいという特性故に、ZX-6Rに乗っていたときは峠でゆっくり走る四輪車に追いつくとストレスを感じていましたが、このスポーツスターSに乗っているとそうしたストレスも感じず、とてもストレスフリーなバイクライフを楽しめています。
後ろからSSガチ勢が詰めてきても広い心で「どうぞお先に抜いていってください」という気持ちで走ることができます。SSで目を三角形にして公道を走ることに疲れてしまった人にはとてもいいバイクです。
非常に軽い
車体が軽いことと、重心が低いことで、立ちごけをする気がしません。これは非常に安心です。
また、シート高が低く、またがったまま前後に動かしたりする取り回しが非常に楽です。立ちごけするとしたら、スタンドがしっかり出てなくて倒してしまうとかはあるかもしれません。
シートが優秀
シートはかなり優秀です。丸一日乗り続けるようなツーリングをしても、お尻が痛くなるようなことはありません。
また、着座位置は若干前後に変えられますので、疲れてきたらポジションを変える、というような乗り方も可能です。
ただし、お尻を浮かすような立ち乗りはステップの都合上難しいです。標準のフォワードコントロールで立ち乗りはできないことはもちろんですが、ミッドコントロールに変更した場合も、立ち乗りは正直しづらいです。
できないというレベルではありませんが、ミッドコントロールであってもステップの上に立つと、股はシートの上というよりはタンクの上という感じで、タンクを股で挟むような形になるのでちょっと安定性に欠けます。
ネガティブなところ
エンジンの音について
いかにもハーレーのドコドッ、ドコドッっという音を求めている人からしたら、ひどいエンジン音だとは思いますが、そうした先入観がなければエンジン音、意外と悪くありません。
が、なぜか走行距離が1,000kmを超えたところで、エンジンから聞こえるキュルキュル音が大きくなってきました。
この水冷エンジンの特性上ヒュルヒュル音やヒュンヒュン音は、しかたないというか、そういうものとして、私個人としてはあまり不快ではありません。
ただし、ヒュルヒュル音とはまた異なった、「キュルキュル」した不快な音が増えてきました。音質としてかなり不快でしたので、正直この音が続くのであれば乗り換えすら考えるかもしれない…、と感じましたが2,000kmを超えるとなぜかこのキュルキュル音は収まってきました。音の原因部のあたりがついてきたのかもしれません。
ちなみになっているときは、始動直後だけでなく温まってからもなっていました。
この音に関しては様子見というところでしょうか。もしかしたらまた寒い時期になると再発するのかもしれません。今のところは収まってくれていますので、不満点というわけでもありませんね。
サスペンション
ファーストインプレッションでも書きましたが、サスペンションの出来は正直なところお粗末であります。
エンジン的にはぶん回して早いエンジンなんですが、先に書きました通り、「ゆっくり走るのが楽しい」というのがこのバイクの特徴だと思います。それはこのバイクの特性をいい意味でいえば「ゆっくり走るのが楽しい」という表現になるのですが、悪い意味でいえばサスペンションの特性故に、「飛ばせばとたんに破綻するので飛ばせない」という表現になります。
特にバンピーな舗装の継ぎ目があるような環境で100km/h以上の速度を出すのは、このバイクでは非常に恐怖に感じます。Showaのサスペンションを使用しているので、悪いものではないと思うのですが、スタイル重視でストローク量が極端に少ないものを採用しておりサスのキャパシティが非常に低く感じます。
前乗っていたZX-6Rは150km/h以上の速度域でもサスが路面を上手にいなして、スッと安定していたのに比べると、不満に思ってしまう面があります。(もちろんサーキットでの話です。)
車種が違う、用途が違うバイクなのでZX-6Rのサスと比べてしまうのは酷ですが、もうちょっとなんとかならなかったのか、という気もします。
一方、悪い意味だけではなくこのサスだからこそスポーツスターSは「飛ばす気にならない」というジェントルな性格になっているのかもしれませんね。
飛ばせないバイクだからゆったり走るしかないのか、ゆったり走るのが楽しいから飛ばす必要がないのか、にわとりが先か卵が先か、みたいな話ですね。
サイドスタンド
停車時の車体の傾きが大きいというのは前回のレビューで申し上げた通りです。
しばらく乗っていて気が付いたことがもう一つあり、サイドスタンドを戻す際の抵抗が希薄ということです。
バイクって、サイドスタンドを出した状態から戻すときに、ばねで抵抗感がありますよね。その抵抗感がスポーツスターSは非常に希薄です。非常に軽いちからで動いてしまう作りになっています。
つまりなにかの拍子に簡単にわずかに戻ってしまいやすいといえます。
ちゃんとサイドスタンドが出ていなかったとしても、前回のレビューで申し上げた通り通常の停車の傾きが大きいので、出てないと気づいた時にはリカバリー不能になってしまいそうです。
ツイッターを見るとすでにサイドスタンドを出し損ねてこかしてしまったという投稿が何件か見られます。
本当にサイドスタンドには気を付けないといけません。
スマートキー
やはり、キーを差し込まなくてもエンジンがかけられるのは近未来感があって最初はどきどきしました。
しかし使っていて便利かというと、必ずしもそうでないことに気づきました。
理由としては、ハンドルロックが物理キーであることにあります。
ハンドルロックをする際には物理キーを差し込んでロックをかける必要がありますので、「結局キーを刺さないといけない」ということには変わりありません。
例えば乗るときの動作でいうと
- 従来のキー
- ポケットからキーを出し、車体に差し込んで捻る→ハンドルロック解除と電源ONされる
- スマートキー
- ポケットからキーを出し車体に差し込んで捻る→ハンドルロック解除。ポケットにキーを戻す。電源ON
とキーをポケットに戻さないといけない分、従来はワンアクションで出来ていたことが、ツーアクション以上に増えており、手間的には増え、走行中にポケットからキーを落とすリスクも増えています。
もし、ハンドルロックまで含めてスマートキーになれば、かなり便利であると思いますので将来的にはそうなっていくのではないでしょうか。
セルモーター
スポーツスターSはエンジン始動はスイッチを一度短く押すだけでよくて、自動でかかるまでセルを回してくれるという仕様です。(かかるまで押し続ける必要はない)
しかし、これも出来が悪く、3回に1回は「キュ~ン」とうなってかからないことがあります。
できないならできないで、最初から通常通り「かかるまで押し続けてください」という仕様にしてほしかったです。
できるといって出来たりできなかったりするのが一番ストレスです。
ナンバープレートが汚れる
これはあまり不満に思っていることとは違うのですが、気づいたので書いておきます。
ナンバープレートが高さの面で路面に近いところに位置しているので、あっというまにナンバープレートが真っ黒になります。こまめに拭きましょう。
ちなみに雨の日に乗ると背中は泥だらけになります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ネガティブなところをたくさん書きましたが、このバイクにはおおむね満足しています。
ここに書いたことはすべて、揚げ足取りのようなもので、このバイクが悪いバイクだ、ということを言いたいわけではありません。
目下のところ一番不満なのはサスペンションで、買う前は、峠をいいペースで走ったりするとシングルのブレーキか、ハイグリップを選択できないタイヤか、そのどちらかが先に破綻するかな~と予想していたんですが、実際に走ってみるとサスペンションが一番最初に破綻するように感じました。
シングルブレーキゆえの制動力の低さとかは走り方で何とでもできますが、サスペンションの性能の低さは走り方では何とかならないところが大きいと思います。
ではこれが必ずしもマイナスかというと、このバイクの「ゆったり走るのが楽しい」というのを演出しているのもこのサスペンションセッティングゆえなのだろうな、と感じています。
仮に、スポーツスターSのスポーツモードの加速力に加えて、サスペンション性能まで国産SSに匹敵するものが積まれていた場合、たぶん危険な領域で峠をぶっ飛ばしてしまう気がします。命がいくつあっても足りません。
(そういった意味ではこのエンジンを載せたスポーツネイキッドのブロンクスが出たら、とても面白いんだろうなと思う反面、寿命が縮まりそうで恐ろしい、という二つの相反する予想・期待が湧いてきます)
また、そのほか現段階では気になっていないのですが、起動時にたまにエラーコードのようなものが出ることがあります。(スタート画面の代わりに「*000」のようなコードが表示される)
そうしたときはやはり電子制御バリバリの車両なんだということを実感します。古いハーレーに乗っている人などは「直しながら長く乗る」という楽しみ方もあるかと思いますが、現代のスポーツスターSのような電子制御満載の車両はそういったことは望めないのかな、と思います。
電子部品なんかは簡単にディスコン(製造中止)になりますので電子部品が故障して保守部品のサポートも切れてしまったら、エンジンがどれだけ快調であってもその瞬間に起動すらできなくなる、そして直すこともできない、というのは覚悟しないといけないのかな~とは思います。車もバイクも、そういう風に移り変わっているので、それはそれで仕方ないのですけれどね。
以上、スポーツスターSの購入を考えている人の参考になれば幸いです。