目次
はじめに
どうも、かとうです。先日、発注していたハーレーダビッドソンのスポーツスターSが納車されました。
これまで乗っていたZX-6Rは手放したので、いま現在のところ公道を走れるバイクはこれ一台となります。大型バイクでのサーキット走行はしばらくお休みということになりますが、いつか再開したいと思っています。
私はこれまでハーレーに乗ったことはなく、国産の、それもスポーツ系のバイクに乗ってきました。
そのため、今回の感想の記事は「これまでのスポーツスターと比べてどうか」ではなく「国産大型スポーツバイクと比べてどうか」という視点で書いていきます。
ちなみに続編として4,000km走ったときに書いた記事もありますので、そちらも合わせて読んでいただければと思います。
ハーレーダビッドソン スポーツスターSを買った話(4,000km走っての感想) – Moto Study (moto-study.com)
スポーツスターSのレビュー
オプション
私の車両はグリップヒーターとエンジンガードとミッドコントロールステップを付けました。
絶対に譲れなかったのがミッドコントロールです。
購入を決める前に試乗した車両は標準のフォワードステップだったのですが、どうしても違和感がぬぐい切れず、オプションのミッドコントロールステップを取り付けました。
ミッドコントロールステップにしても、国産ネイキッドに比べると若干前より(レブル1100と同じようなポジション)ですが、峠での操縦性は格段に上がったと感じます。
足つき・とりまわし
足つきは176cmの私で両足ベタベタ、これまで乗ってきたバイクの中でも最も足つきが良く、このバイクで足つきが不安に感じる方はほとんどいないと思います。
重量は、ハーレーダビッドソンとしては異例の軽さの228kgです。
もちろんZX-6Rよりは大分重いので、押し引きするときの動き始めの重さは感じますが、重心が低いので、ZX-6Rよりも押し引きでこかせてしまうような不安感は少なく感じました。
ただ、ハーレーあるあるらしいのですが、サイドスタンドを出して止めたときの傾斜角度が大きいです。
サイドスタンドがきちんと出ていなかったときに、「やばい!」と気づくのが遅れそうで、気づいた時には手遅れの角度になってそうなので、個人的にはもうちょっと立ち気味にしてほしかったです。
デザイン
ロー&ロングで、極太のフロントタイヤを履き、とてもマッシブなイメージを与える、かなり好みが分かれるデザインです。
特にハイマウントされたマフラーが目につきます。エキゾーストパイプは二重、三重にカバーされており、実際よりも太く、力強いイメージを与えるようにデザインされています。カバーのおかげで黒い部分は全く熱くありません。
シルバーの部分は触れるとやけどをするくらい熱くなりますが、YAMAHAのバイクカバーが触れても(いまのところ)溶けたりはしていません。
一般に左側のビューは広報にあまり使われておらず、デザイン上、力を入れているのは右側のようです。個人的には左側も、メカメカしくて嫌いじゃありません。
また、スイングアームから生えたナンバーとリアウインカーが嫌いな人もいるみたいですが、私は好きです。
デザイン上最近流行しているバーエンドミラーを採用していますが、ミラーの見えやすさにも問題なく、かっこいいと思います。車幅は広くなっているので、狭いところを通行する際は注意が必要です。
また、メーターは非常に視認性が高く良いデザインでした。
エンジンについて
低速からトルクがもりもりでとても楽しいエンジンです。
「ゆっくり走っても楽しい。でも、いざ回したら早い」というバイクが欲しかったので、最高のエンジンでした。
特にスポーツモードでアクセルを大きく開けたときは暴力的なまでの力強さで、ZX-6Rよりも鋭い加速力でした。
事実、スポーツスターの最大トルクは125N・m(6000rpm)に対し、CBR1000RR-Rは最大トルク113N・m(12,500rpm)であり、この極太のトルクでリッタースーパースポーツに迫る加速を見せてくれます。
ただし、あくまでも中低速のトルクに振った特性なので、リッタースーパースポーツのように強烈な加速力のままどこまでも回転があがっていく、というエンジンではありません。
若干の前傾姿勢のポジションも、この鋭い加速にマッチしていると感じます。
音質に関しては、従来のハーレーとはまったく異なる印象です。ハーレーのドコドッ、ドコドッ、っという鼓動感のあるエンジン音が好きな人が買うとがっかりすると思います。
わたしは、昔ながらのハーレーの音にこだわりがあったわけではありませんでしたが、それにしても乗る前は「エンジン音いまいちだな~」と思っていました。
しかし、なぜか納車後丸一日乗っていたら「そんなに悪くないな」と思うように変わっていました。低音が効いて、味のある音です。あばたもえくぼ、というやつかもしれません。
また、音量は思ったよりも結構うるさいと感じました。うるさいハーレーが嫌いなので、もうちょっと静かだったらよかったです。
ディーラーでは可能であれば5分くらい暖機運転をするように説明を受けましたが、私の環境(閑静な住宅街)で5分も暖機していたら、バイクをぼこぼこにされても文句を言えません。
ブレーキについて
フロントシングルなのが、どうなの?という気がしていましたが、通常の峠をツーリングで流す程度であれば十分すぎる効きでした。ただ、決してジャックナイフができるほど効く、ということはありませんので峠のコーナーでぎりぎりまで突っ込んでハードブレーキング、というような使い方をすると不満に感じます。
リアブレーキもブレンボですが、効きは極めて弱いです。正直弱すぎてコントロール性がどうか、とかを議論するレベルにありません。(この効きでわざわざブレンボにした意義は…?)
そのためリアブレーキは速度の微調整や、姿勢制御に使う程度で、制動としてはフロントブレーキを主体に止めていくライディングになります。
旋回性について
フロントタイヤが160という超極太ですので、そのことが旋回性に与える影響が気になっていました。
しかし実際に乗ってみると、極太タイヤゆえの独特のステアフィーリングがありましたが、中低速主体のタイトな峠でも不満に思うことなく、気持ちよく旋回できたのが印象的でした。
独特のステアフィールというのは、低速では自然に切れ込む感じがあるのと、素早く切り返すS字のようなところで重さ(慣性モーメントが大きい)を感じました。クイックに切り返す、いわゆる攻めた走りをする場合に不満に感じるとは思います。
地球ゴマを触っているときのような感覚、というと近いかもしれません。フロントタイヤが地球ゴマのような感触です。
燃費
郊外道路で20km/Lくらい、市街地で15km/L程度、ハイオク指定です。
タンク容量が11.8Lなので航続距離は200kmくらいと考えるとよさそうです。
国産バイク乗りからするとちょっと少ないという気もしますが、もともとがスーパースポーツに乗っていたのでそこまで不満ではありません。燃料計がついているだけありがたいです。
250ccとかのツーリング系バイクから乗り換えると、航続距離は半分くらいになるでしょうから、大いに不満を感じると思います。
郊外のみを走ったツーリングでは160km~170km程度でガソリン警告表示が出ました。
不満なところ
サスペンションが固い
標準の設定ではかなり固く感じました。
舗装のつぎめが多いガタガタな道路を走るとかなり衝撃が来て跳ねる傾向がありました。
公道ツーリングにおいては、もうちょっと柔らかい設定が好みです。
ゆっくり走っている限りそれほど気になりませんが、峠を飛ばすようなスポーツライディング的な乗り方をすると接地感が薄くなり、途端に破綻します。
アメリカ製バイクだから体重が重い人向けに設計されているのか、納車されたときの標準の設定でもリアサスペンションのプリロードも最弱で、これ以上は下げることができない設定でした。
また、リアサスペンションのコンプレッションのダンピング設定も「スタンダード」の設定となっていますが、これ以上弱めることができないようでした。(取説上「快適さ」「スタンダード」「スポーツ」の3通りの設定値が記載されていますが、「快適さ」と「スタンダード」が同じ数値ですのでそれ以上弱める方向には調整できません。)
ロー&ロングなスタイリングを実現するために、サスは前後ともストロークの短いものを使っているようで、実際写真で見ても、フロントフォークのストローク量は少ないことがお分かりいただけると思います。
フルアジャスタブルのサスペンションでありながら、リアサスに関していえば標準のセッティングがプリロード下限かつ圧側ダンピング最弱というのはいかがなものでしょうか。本来、標準の設定は強めるほうにも弱めるほうにも変えられるような中間的な設定であるべきですし、そのようなサス設計にすべきだと思っています。
荷物が乗らない
これは分かっていました!笑
ピリオンシートすらつけていないので、何も載りません。
わかっていたことなので、不満と書くのもおこがましいですが、今後サイドバッグやタンクバッグを買って積載性を上げようと思います。
ただ、いろいろ対策をしても基本的な積載性は低く、北海道をキャンプ道具満載で回る、なんて用途には向かない車両だと思います。
ウインカーの出来が悪い
ウインカーは押した感触が弱いというのと、オートキャンセル機能に不満がありました。
とくに厚手のグローブをしていると、ちゃんと押せているのかよくわからないというパターンがあったり、消そうとして真ん中を押したつもりが逆方向にウインカーが出てしまっているということがありました。
また、スイッチがグリップから若干遠めにありますので、特に左方向に出すときに出しづらいと感じました。
オートキャンセラーは、まだ消えてほしくないうちに消えてしまっていることが多々あり、個人的にはあまり出来が良いように思えませんでした。具体的には、交差点を左折するときに横断歩道に歩行者がいるといったん停止しますが、その停止で意図せずウインカーがキャンセルされてしまうことがあります。
車の場合、ウインカーが意図せず消えても、音で気づくので出しなおせますが、バイクの場合意図せず消えても気づきにくく危険だと感じました。バイクにおけるオートキャンセラーは、車の場合よりも相性の悪い機能だと思います。
そのうち不満に思いそうなところ
特徴的な太いタイヤを履いていることもあり、タイヤが専用設計品です。
交換するときに選択肢がありませんので、「いろいろなタイヤを選ぶ・試す」という楽しみはありません。
ダンロップのGT503というハーレー用の専用設計タイヤで、フロント160/70TR17、リアは180/70R16ですね。
(このタイヤ、ネットで検索すると前後で10万くらいするんですが…)
コンパウンドのグレード的にはロードスマート4とかと同等でしょうか。まだ車体も慣らし段階なのでよくわかりませんが、温度依存性の低い素直なグリップ特性ですね。
反対にいえば、温めたらねっちねちに食いついてくれるようなグリップ感のあるハイグリップタイヤというわけではありません。
ブレーキパッドやエンジンオイルに関しても、選択肢がほぼない(というかディーラーにお任せ)ということになりますので、これまでサーキット走行で自分の車両をいろいろといじりながら変化を楽しむということをしてきた人にとってはディーラーにすべてお任せして選択肢がないというのは不満に思うかもしれません。
まあディーラーに全部お任せ、というのは時代の流れですので、仕方ないとは思います。
追記:嫌な予感があたりました。2022年11月現在、タイヤ欠品で私のスポーツスターSは絶賛不動車になっています。
ハーレーダビッドソン スポーツスターSがタイヤ欠品で不動車になった話 – Moto Study (moto-study.com)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
不満もいくつも書きましたが、それを覆すくらい面白い唯一無二のエンジンを積んだバイクですので、今後ずっと長く乗っていきたいと思います。
ゆったりと、ドコドコ走っていくような、昔ながらのハーレーに乗りたい人からすると、あまり魅力的なバイクに見えないかと思います。一方で、私のようにこれまで国産バイクに乗ってきて、ハーレーに興味がなかった人たちにも門戸を開いた、ハーレーにとって新しい時代を切り開く車両だと思います。
このバイクといろんなところに走りに行くのが楽しみです。
↓インプレッションの続編はこちら
ハーレーダビッドソン スポーツスターSを買った話(4,000km走っての感想) – Moto Study (moto-study.com)