サーキットを走るときのブレーキパッドの選び方

はじめに

どうも、かとうです。

バイクの要素にあげられるものに、「走る」「曲がる」「とまる」の三要素がありますよね。

サーキット走行か公道ツーリングかにかかわらず、最も重要な要素が「とまる」です。
安心して止まることができるから、安心してアクセルを開けることができるというものです。

今回はサーキットでも安心して使えるブレーキパッドについてご紹介します。

ブレーキパッドの種類

まずは、ブレーキパッドにはどのような種類があるのかを網羅的にご紹介いたします。

ただ、ブレーキパッドに関しては、サーキットユース向けの高制動力のものがすべてにおいて優れているかというと必ずしもそうではありません。

タイヤなんかと同じですが、通常サーキットユース向けのパッドはある程度温まってきて初めて性能を100パーセント発揮するものが多く、温度依存性が高いといえます。

そのため公道をゆったりとしか走らないライダーにとっては、レーシングパッドを使用してもその性能を発揮する温度域までパッドが温まらないため、レーシングパッドを使用するのは必ずしも良い選択とは言えません。
それぞれの走り方に合わせたパッドを選択することが重要です。

オーガニック系

繊維系の素材を樹脂で固めたパッドです。絶対的な効きはほかのパッドに比べると劣りますがコントロール性が最も高く、ブレーキディスクへの攻撃性も低いです。

制動力に劣るため、小中排気量車で使用されることが多く、通常サーキット走行で使用されることはありません。

セミメタル

金属系の素材を樹脂で固めたパッドです。

一般的にシンタードメタルよりも絶対的なストッピングパワーに劣りますが、コントロール性は高いとされています。

ライフと制動力・コントロール性のバランスが良く、街乗り用途の車両には最適といえます。

  • 代表的なパッド
    1. デイトナ 赤パッド/ハイパーパッド
    2. RK ファインアロイ55

シンタード(シンタードメタル)

金属材料を焼結によって固めたブレーキパッドです。「焼結する」という動詞は英語でsinter(シンター)なので、sintered metalは「焼結された金属」という意味になります。

  • 代表的なパッド
    1. デイトナ ゴールドパッド
    2. RK Mega Alloy X

セラミックシンタード

シンタードパッドの一種です。シンタードパッドと区別しないこともあります。

よりストッピングパワー重視のパッドが多く、ある程度温まることで最大の制動力が得られる傾向があり、サーキットユースを目的としたものがあります。

  • 代表的なパッド
    1. Zcoo セラミックシンタード
    2. Metallico セラミックカーボンブレーキパッド

サーキットを走る人におすすめのブレーキパッド

サーキット走行では絶対的なストッピングパワーを要求される場面が多く、基本的にコントロール性重視のパッドよりも制動力に優れたパッドを選ぶことになりますので、シンタードパッドを使用しているライダーがほとんどです。サーキット走行で使用している人も多いパッドをご紹介いたします。

デイトナ ゴールデンパッド

社外のブレーキパッドに変えている人はデイトナのものを使用している人が多いのではないでしょうか。

デイトナのパッドでサーキット走行に適しているのはシンタード系のゴールデンパッドです。
比較的温度依存性も低いので、街乗りで寒い時も安心して使えるパッドといえます。

下記で紹介しているZcooのTypeCやMettallicoのSpec3と比べると、若干街乗りユースに対応する方向振ったパッドのように感じます。

参考 デイトナ ブレーキパッドブレーキパッド | 商品を探す | デイトナ

Zcoo セラミックシンタード TypeC

サーキット走行する人から絶対な人気を集めるパッドです。
おそらく、サーキットを本格的に走っている人たちのなかで一番使われているのがZcoo(ジクー)のブレーキパッドではないでしょうか

Zcooのセラミックシンタードパッドは無印とTypeCがありますがTypeCのほうがよりサーキットユース向けの設計となっています。

しかし、残念ながらtype cは2021年12月で製造中止になっています。

参考 Zcooブレーキパッド商品ラインナップ | ZCOO | 岡田商事株式会社

Metallico セラミックカーボン SPEC03

読み方はメタリコではなくて、メタリカです。私がつかっているブレーキパッドはこのメタリカのブレーキパッドです。同社のブレーキパッドにはセラミックカーボンの無印とSpec03がありますが、Spec03のほうがよりサーキットユース向けの設計となっています。

メタルシンタードベースの摩材にセラミックカーボンを追加した素材を使用しており、高温での制動力を高める設計になっています。温まってくると本来の性能を発揮し制動力が高まってきますが、かといって低温時とまらないということもありません。

参考 MettallicoブレーキパッドMETALLICO

Endlless レーシングシンタードPROⅡ

4輪用ブレーキパッドで有名なメーカですが、2輪のブレーキパッドも製造しております。

通常のラインナップのスーパーハイブリッドシンタードの扱い易さはそのままに、効力を高めたレーシングシンタードPROⅡがあります。

参考 Endless(エンドレス)高性能ブレーキメーカーENDLESS(エンドレス)製二輪ブレーキパッド | WILD HOUSE(ワイルドハウス)

RK Mega Alloy X

チェーンメーカーのRKが製造するブレーキパッドで最上級の性能を誇るのがMega AlloyXです。

ZcooやMettallicoよりも若干廉価であるため買い求めやすい価格帯になっています。

参考 RKブレーキパッドブレーキパッド | アールケー・ジャパン株式会社

サーキットを走る前のブレーキの点検

走行前に絶対にブレーキを点検するようにしてください。

「握って効いているからOK」というわけではなく、かならず目視で検査を行うようにしてください。低速域で握って効いていたとしても下記のような摩材のクラックなどは発見することができません。

パッド以外の点検箇所

ブレーキフルードのにじみはないか確認しましょう。とくにブレーキパッドを押すピストンのシール部分はフルードがにじみやすい部分です。

また、特に重要な点検項目として、パッドピンがしっかりと取り付けられているか、ブレーキキャリパーの固定ボルトが適正トルクでしめつけられているかを確認しましょう。

パッドの点検箇所

バックプレートにゆがみがないか

サーキット走行では、ブレーキパッドは通常の公道走行ではありえないほどの高温にさらされます。

高温によってパッドのバックプレートに歪みが生じることがあります。歪みが生じるとブレーキレバーを握って生じる油圧の力が逃げてしまうため、ブレーキの効きが弱くなったように感じます。

バックプレートが歪んでしまったパッド、新しいものに交換しましょう。

パッドの摩材がバックプレートから剥離しかかっていないか

バックプレートと摩材の間にクラックが生じることがあります。

クラックが生じる剥離しかかっていると、バックプレートがゆがんだときと同じくブレーキの効きが弱くなります。
また、最悪のケースで最終的に剥離に至ると、まったくブレーキが効かなくなり、重大事故につながります。

私はサーキット走行をしていて一度だけ摩材のバックプレートからの剥離しかかりが生じたことがありました。鈴鹿ツインサーキットのストレート終わりのブレーキングで制動力の低下が感じられたので、おかしいと思い、パッドを外して点検したところ、摩材にクラックが生じており、ヒヤッとした経験があります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

私はサーキットを走るうえで、車両のメンテナンスを行うことまで含めて「趣味」や「楽しみ」の一環であると感じています。次にどんなパッドを試してみるか、パッドの性能がどう走りやすさに影響するのか、いろいろと考えて試行錯誤するのは楽しいです。

また、タイヤに比べるとブレーキパッドはサーキットその場での交換も容易です。複数のパッドを持って行って、付け替えて比較するのも良いかと思います。

ただし、ブレーキは最重要の保安部品ですので、メンテナンスに自信のない方は絶対にご自身で脱着を行わないようして、信頼できる整備士に依頼をしてください。

安心して止まれるバイクで、安心してサーキットを楽しみましょう。